進路の相談

人に相談するのは昔も今も得意じゃないんだけど、高校卒業のときに2年のときの担任だったS先生に進路の相談に行った。

都立に落ちてしまったので、親に私立高校の学費を負担させてしまった。そうでなくても、もともと大学に行かせてもらう余裕はない。働きながら通うという選択肢もあったが、高校の奨学金も返さなきゃならないし、家にお金も入れなきゃならないし、だいたい4年間両立をがんばれるほど根性もないし。

職員室にいらしたS先生のところに行き、「就職しようとは思ってるんですが、もう少し勉強もしたい。1年だけの専門学校くらいなら行けると思うんです。どう思いますか?」と率直に思いをぶつけてみた。なぜS先生だったかというと、他に相談する相手がいなかったから、まあ、なんとなくだった。

S先生は少し間をおいて、「大きな会社に入って、会社からお金を出してもらって勉強しなさい。今はそういう制度が充実してきている。それに、専門学校よりここから就職したほうがいいぞ。就職の実績はほとんどないけど、この高校の躾が厳しいことは有名だから、社会から見たら安心できる生徒だというわけだ」と答えてくださった。
そして最後に、「お母さんを早く楽な気持ちにさせてあげなさい」と付け加えられた。

当たり前に大学に進む友人たちが羨ましくなかったかというと、そんな気持ちもあるにはあったけれど、S先生の言葉が、相談する前には考えていなかったほど心の奥に届いたおかげで、私はスッキリとした気持ちで就職をして、会社の補助を受けて通信講座でもう少し勉強を続けた。遊びに夢中になってしまったので、その勉強は次の就職に結びつかなかったけど、軽い達成感のようなものはあった。

私自身がもともとサッパリした性格だし、家庭の事情も納得しているし、思い悩んでいたというほどのことでは全然ないので、S先生が救い主とか恩人とかいうつもりはない。

けれど、ただの「担任」とは違う。やっぱり「恩師」だと思う。あのときの言葉は、内容が良かっただけではなくて、まなざしや表情や言葉のテンポやトーンで、私のことを真剣に考えてくださってることを感じさせてくれるのに十分だったから。

最近は叱られることも減ってきたけれど、それでもまだまだ未熟なもんだから、何年かに一度は恩師に会って、お説教してもらいたなっちゃうんだよねー。と、なんだか独り言モードな締めくくりになってしまった。

※2011年9月3日Facebookノートに掲載したものです

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ちょっちょです。
4人の子どもと4人の孫に恵まれましたが、パートナーはおりません。たくさん笑って、たくさん泣いて、たくさん楽しんで、たくさん悩んだ波瀾万丈な人生。まだまだ面白がろうと思っています。
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※万覚帳(よろずおぼえちょう)とは、まだ余白がある帳面のことです。雑記帳、メモ帳