【え】絵馬と江古田とエリック・アイドル

「えごた」と「えこだ」

東京都中野区の江古田は「えごた」と読む町名である。一方、西武池袋線の江古田駅は「えこだ」で練馬区。歩いて行ける距離にある二つの江古田の不思議。

私は江古田(えごた)小学校の出身で、在校時に90周年の式典があった。区内では野方小の次に古く歴史がある学校だと教わり、その価値は分からないまでも誇らしく感じたことを覚えている。

小学3年はプレハブの校舎で過ごし、4年からは鉄筋4階建ての4階の教室に移った。子どもたちも江古田小学校に通ったので、時を隔てて、またこの校舎に足を踏み入れる機会をもらい、時おり自分の時代とオーバーラップさせることもあった。

江古田駅にはそれほどの思い出はないけれど、「江古田」という単語を見ると、私の中の思い出スイッチがオンになることが多い。

建て替え前の校舎。記憶にはない

感性との出会い

そのまま地元の中学にあがり、私の毎日は恋愛と好きなモノに埋めつくされる。脚本や詩を読むこと、ビートルズを聴き友と語ること、妄想を膨らませること。。。

多感な時期にBBC放送の『モンティ・パイソン』と出会えたことは幸福だった。そのシュールで不条理な物語は、私に「世の中は説明のつかないだらけ」であることを教えてくれた。笑ってしまえば取りあえずやり過ごせることも知った。
メンバーの中でもエリック・アイドルがお気に入りで、吹替の広川太一郎さんの声は、今でもふと脳裏をよぎったりするほどだ。知的で可愛い顔から発せられる言葉の一つひとつが危険で、それがまた魅力的だった。

趣味・嗜好が似ている友人と知り合えたことは、運が良かったとしかいいようがない。彼女たちと長い時間を過ごせたことで、私はだいぶ救われている。特殊な家庭環境で育ち、なかなかに苦労をしている私にとって、彼女たちの感性こそが居場所だったのだ。他人の感性を通して、自分自身の感性も大切にすることができたように思う。

左から二番目がエリック・アイドル

初詣の付き添い

中学3年の年末に同じクラスの子たちと、「受験もあるし、みんなで初詣に行こう」という話が出た。中学生だけで初詣なんて考えられない時代だったようで、親たちはこぞって反対した。

「みんな反対されてるんだよね」と母に話すと、「子どもだけだからダメなんだったら、私が付き添ってあげるわよ」と言う。いつも忙しいんだから年末くらいはゆっくりしたいんじゃないかと思っていると、「みんな行きたいんでしょ? 連れていくわよ」といとも簡単に言ってのけた。

おかげで初詣に行くことができて、みんなもとても喜んでくれた。あの時に感じた母の気風の良さを、今でも時折思い出すことがある。みんなと楽しそうに過ごす私を見ているのが、母は何より好きだったということも。

ちなみに、第一志望校に落ちたのでご利益はなかったようだ。絵馬を奉納しなかったからかもしれない(もちろん絵馬のせいではない)。

真ん中の、破魔矢で人をつついているのが私

まんまるい月に

母が亡くなった年をとうに超え、子育ての期間も長くなったけれど、
私が子どもを思う気持ちは、母から受けたものに届いていないのではないかと、そんな風に思うことがある。

愛情の量を比べているのではなくて、器の大きさが違うように思えるのだ。元々の器なのか、女手一つで私を育てるうちに大きくなったものかは分からないけれど。

覚悟の差なのかもしれない。

まんまるい月が空に浮かぶ日は、特にそんな風に思う。

ちょっちょ
【え】に入れるか悩んだのは、エリナ・リグビー。Beatlesの好きな曲5本の指に入ります

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ちょっちょです。
4人の子どもと4人の孫に恵まれましたが、パートナーはおりません。たくさん笑って、たくさん泣いて、たくさん楽しんで、たくさん悩んだ波瀾万丈な人生。まだまだ面白がろうと思っています。
私が感じていることが、どなたかの心に響けば幸せです。

※万覚帳(よろずおぼえちょう)とは、まだ余白がある帳面のことです。雑記帳、メモ帳