【せ】栓抜きと洗濯と世良公則

準備万端、ではなく

母が急にスナックを始めると言い出したとき、さすがに私もビックリした。飲み歩いてはいたけれど水商売経験のない母に、「どこかで少し修行したら?」と言うと、「由美子が手伝ってくれれば大丈夫よ」と気楽な返答。高校生なのにすっかり頼られてしまった。

そんな私たちがオープンの日を迎えて、お客様を待ってドキドキしていたら、知らない人が入ってきた。

「なんで? 初日は知ってるお客様だけになるはずだよね?」

ドキドキからドギマギに変わった母娘に、その人はビールとオイルサーディンを注文した。

ひとまずビールはお出ししたものの

「お、おいるさーでぃん、って何?」

ドギマギからアタフタに変わった母娘に、その人はカウンターを覗き込んで、「そこにある缶」とニコリともしないで言った。

開店準備を手伝ってくれた人が、ちゃんと用意していたらしい。

「あー、これね!」とホッとしたら、缶切りが無い。。。。。
私が自宅まで走って取りに行く羽目になった。

知らない初めてのお客様は、知人の紹介で来てくれたことが後で判明したのだが(本当は朗らかな人で、慌てている私たちをからかっていたことも判明)、

「栓抜きはあって良かったよ」と、しばらく語り草にされたのだった。

当時もこのタイプならねー

♩あなたにだけは〜

母は陽気で、よく歌を歌う人だった。得意なのは「星影のワルツ」「長崎は今日も雨だった」「酒場にて」。上手くはないけれど、味のある良い声の持ち主だった。

洗濯を干すときに歌っていたスパークのCMソングは、今でも私の洗濯ソングだ。

♪あなたにだけは 好かれたいと
洗濯が好きと 言ったわたし
ウソをついたのよごめんなさいね でも
結婚できて こどもも三人
いまでも洗濯 好きじゃないけど
あなたのためなら せっせとやるわ~スパーク~♫

結婚とは縁が薄かった私たち母娘だが、洗濯の幸福感は共通のものだろう。

子どもが小さかったころに比べると洗濯物はすっかり減ってしまった。楽になるって寂しいことだなと思いながら、♪あなたにだけは〜と口ずさんでいる。

屋上から一気に駆け下りて

昭和の時代はテレビからもよく歌が流れていた。音楽祭や歌番組だけでなく、バラエティ番組にも歌手がゲスト出演して歌っていた。

高校1、2年のころ、Charのおっかけをしていた私は、観覧にちょくちょく潜り込んでいた。『スター大運動会』とか『スター大水泳大会』とか、制服で平気でうろちょろと。

『ぎんざNOW』もその一つで、銀座三越の屋上から係の指示に従って一気に階段を駆け下りて銀座テレサに入場する。下りとはいえ8階分あるのだから若かったなぁと思う。

ある日、テレサに入ると「今日はChar出ませーん。ツイスト入りまーす」と。「えーーーっ、世良かぁー」なんて生意気言ってた。

世良公則さん、カッコいいと思う、今は。

ちょっちょ
新宿音楽祭、銀座音楽祭は生で聴いてますが、横浜音楽祭に行ってないのが心残りです

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ちょっちょです。
4人の子どもと4人の孫に恵まれましたが、パートナーはおりません。たくさん笑って、たくさん泣いて、たくさん楽しんで、たくさん悩んだ波瀾万丈な人生。まだまだ面白がろうと思っています。
私が感じていることが、どなたかの心に響けば幸せです。

※万覚帳(よろずおぼえちょう)とは、まだ余白がある帳面のことです。雑記帳、メモ帳