【そ】そろばんとソバカスとソクラテス

自他共に認める超不器用

私の個性をいくつか挙げるとしたら、絶対に入る“超不器用”。指先が鈍くて、人が「え?こんなことが?」と思うような当たり前のことが出来ない。家庭科の授業でのさまざまな逸話を覚えている友人は少なくないだろう。

幼いころ、母が時折パチパチと弾くそろばんの音が好きだった。10桁くらいしかない小さなそろばんで、いつも引き出しにきちんと仕舞われていた。私もやってみようと使い方を教わってみたものの、指はうまく動かない。

四畳半に置いた卓袱台の上で、カツン、コツンとたどたどしい音を出す私を、母はどんな顔で見ていたのだろう。不器用な娘でも、微笑んで見ていたのだと思う。

母の器用さは、私を飛び越えて娘二人に遺伝したようだ。細かい作業を軽々とこなしてしまう。

早く逝ってしまうというのはもったいないことだ。
孫の器用さに目を細めたであろう母も、
祖母にいろいろ教ったはずの娘たちも、
そんな姿を羨ましく嬉しく思う私も、

結局、存在しなかったのだから。

テーマソングのある小学生

やさしいけれど勝気でもあった母は、学校でソバカスをからかわれたと憤慨する私に、
「ソバカス美人って言う言葉があるんだよ」と言い返してこいと言った。

翌日もまた「ソバカスがいっぱい。蕎麦ばっかり食ってんじゃないの!」と冷やかす男子に、「ソバカス美人って言うんだよ!!」と言い返してみた。

「じゃあお前はソバカスブスだぁ!!!」

終わったばかりの学芸会で他の学年が発表した『つめなしねこなんてこわくない』をもじって、歌まで作られてしまった小学四年の秋。

休みの日に野球の練習に行く男子たちが我が家の前を通り過ぎるとき、♩ソバカスブス、ブスブスブス、ソバカスブスなんてこわくない♫ と歌う。母が窓から顔を出して「こらっ!!」と怒鳴る。

肝心の私は、歌がそれほど嫌だった訳ではなく、なんとかの一つ覚えのように毎週繰り返し歌う男子と、怒鳴った後でちょっと楽しそうな顔をする母がおかしくて笑っていた。

私が本当に嫌がっていたら、男子は歌わなかっただろう。その証拠に、私の肩にある大きな種痘の跡をからかわれたことは一度もない。

このころから、ずっとソバカスと生きています

みんな悩んで

ちょっとしたからかいのつもりが、相手を傷つけてしまうことがある。私は替え歌を単なる遊びと受け取れていたが、そうでない人もいるだろう。私自身も、気づかないうちに人を傷つけてきただろうと考えると怖くなる。

昔々、
♫ソ・ソ・ソクラテスかプラトンか、ニ・ニ・ニーチェかサルトルか♬
というサントリーのCMソングがあった。
その後は
♫みんな悩んで 大きくなった♫
と続く。

悩んでもがいて
少しは大きくなれたのだろうか。
知らず知らず人を傷つけたりしなくなったろうか。

知っているつもりにならないことは、簡単なようで難しい。

 

ちょっちょ
また頭の中はCMソングに…

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ちょっちょです。
4人の子どもと4人の孫に恵まれましたが、パートナーはおりません。たくさん笑って、たくさん泣いて、たくさん楽しんで、たくさん悩んだ波瀾万丈な人生。まだまだ面白がろうと思っています。
私が感じていることが、どなたかの心に響けば幸せです。

※万覚帳(よろずおぼえちょう)とは、まだ余白がある帳面のことです。雑記帳、メモ帳