場づくり上手
営業部門にいたころ、飲み会の席で突然「ねえねえ、うどんと蕎麦のどっちが好き?」と大声で聞いた女性がいた。
てんでばらばらに喋っていた20人ほどの人たちが、急な質問に「え? うどんかなぁ」「私は蕎麦!」「どっちも好き。どうしよう」などと話し出す。接点がなかった人たちが「やっぱり蕎麦ですよね〜」なんて自然に打ち解けてくる。うどん蕎麦の話題は去って、また少人数ごとの会話に戻っても、場の空気が一つになったままだったことを覚えている。
人はみな、間違うことが嫌いで失敗もしたくない。会社組織ならなおのこと。だからこそ、正解のないたわいもない質問は、安心して回答できてホッとするのだ。自分の嗜好を話した相手は身近に感じるので、懐に飛び込みやすい。彼女の営業成績が良かった理由を垣間見た気がした。
「たい焼き、どっちから食べる?」とか、「キノコの山とタケノコの里、どっちが好き?」とか何でもいいんだけど、こういう質問の際はうんちくは述べないほうが楽しい。
ちょっとした心遣い
この時の上司Nさんも彼女と似たタイプで、人を惹きつけるのが上手かった。「お風呂に入ったらどこから洗う?」なんて質問で、どこまでも引っ張る引っ張る。飲み会ではいつもおなかを抱えて大笑いをした。
Nさんはメンバーの誕生日をノートに書き留めていて、誰かの誕生日当日は部署の連絡ツールに「今日は○○さんの誕生日です。おめでとうございます!」と入力する。「この日の誕生日の有名人は、、、、」などと小ネタも付いてくる。
私は誕生日を祝われるのが大好きなので当然嬉しかったが、そうでなくても、自分が主役になることを皆も喜んでいたように思う。
以前書いた誕生日の話は↓ 今回のブログとは無関係(笑)
誰からも好かれるNさんも彼女も、今は別の会社で働いている。それでも今でも仲良くしていて、相変わらず私のお手本になっている。
光栄の極み
同じ誕生日の有名人は何人もいるけれど、私の自慢はダライ・ラマ14世である。一緒なのだ。
今年の4月にスピリチュアルな能力をもつ方にいろいろ見てもらった時に、「あなたの前世はネイティブアメリカンのシャーマンなんだけど、それとは別にチベットとダライ・ラマという言葉が何度も浮かんでくるわ」と言われた。生年月日は伝えていないので、誕生日が同じことなど知らずに。
それから何冊かダライ・ラマ関連の本を読み、その生き方、考え方をとても尊敬するようになった。もっともっと知りたいと思い、先日は法話を賜ってきた。そのときの様子を書いたので、読んでもらえると嬉しい。
私は、人に厳しいくせに自分に甘くて、しかも人から甘やかしてもらいたい。ダライ・ラマの教えを体現できるようになるまでの道のりはとても遠いだろう。
利他の心が大切なのは分かっているが、すぐに自我が先に出てしまう。頑固なので一度出した自我を引っ込めるのも下手だ。言い訳ばかりが浮かんできて、それを正当化しようとする。まだまだ未熟で後悔することばかりだ。
それでも私は、いつか私が私を信じられるようになることを信じている。
