心の奥をのぞくよう 〜津田隆志写真展『水域』

川の水に映るものは

ホラノコウスケさんが紹介していた『水域』。今日までということで慌てて銀座ニコンサロンへ。

ああ、これを観られて良かった…

不思議な写真たちは、川の水に映った風景を逆さにしたもの。見れば見るほどどちらが本当の世界か分からなくなってくる。

埼玉県川口市を流れる旧芝川を舞台に制作されたものだそうで、「実は言葉遊びなんですよ」と在廊していた撮影者の津田さんに教えていただく。

mirror / river
都市の繁栄と、それを反映する形で汚染された河川。その河川に反映する都市の像を撮影する。
mirror/river は、このような言葉遊びを元にした作品です。

水に映ったものとは思えないほど鮮明な写真もあれば、全体がゆらいでいるものもある。ノイズは観ている側を不安にする。しかし、この写真たちにおいてはノイズがあるほうが、水面ということを認識できて安心できる。

不思議な不思議な感覚。

こちらも向こうもなく、正解も誤りもない、本当は世界の全てがそうなのではないかと思いながら、そもそも“本当は”とは何だろうと思う。

津田さんは「水の深さで加減が変わるんですよ。浅いほうが反射が強い」と言った。

季節や天候、時間帯で変わるのかと思っていたのに、深さなのか。

水鏡に映る肖像

もう一つのアプローチは、旧芝川の水を汲んで作った水鏡に映る肖像である。

水面に落とした石がまるで光の粒のように見える。

「この写真に惹かれます」と私が言うと、津田さんは「この一枚が撮れたので『水域』が展けています」と言った。

少し怖いけれど覗きこまずにいられない。ギリギリのバランスを取っている少女の内面が、閉鎖河川である旧芝川の水に映し出されている。

水に惹かれる少女は、私自身かもしれない。

ちょっちょ
今年亡くなった同級生、太田全治くんの写真展『橋の下の東京』を思い出しました

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ちょっちょです。
4人の子どもと4人の孫に恵まれましたが、パートナーはおりません。たくさん笑って、たくさん泣いて、たくさん楽しんで、たくさん悩んだ波瀾万丈な人生。まだまだ面白がろうと思っています。
私が感じていることが、どなたかの心に響けば幸せです。
Ally(アライ)であることを表明しています。

※万覚帳(よろずおぼえちょう)とは、まだ余白がある帳面のことです。雑記帳、メモ帳