どうやって折るの?
安野光雅さんの絵、へのへのもへじ…。
我が家の子どもたちに教えたのは「つるさんはまるまるむし」だったな。つるさんだから。
仲良くしていた近所のご家族が、ある日折り紙で遊んでいたときのこと。
カブトやヤッコサンを折って、お母さんが「今度はツルさんを折ろうか」と言ったら、4歳の女の子が目を丸くして
「どうやってツルさんを折るの!!??」と言ったそうだ。
何でそんなに驚くのだろうと思いながら「折るから見ててね(^ ^)」と言うと、今度はもっと大きな声で
「どうやってツルさんを折るの!!!???」と。
大人は、折り紙のツルと言ったら鶴しか浮かばないけれど、女の子は、折り紙で私が作られると思ったらしい。そりゃあビックリするはずだ。
ちょっと見てみたい気もする。
等身大折り紙ちょっちょ
朝から大学いも
長男が小学生のころ、ツルという苗字でからかわれると訴えてきた。「いい名前だと思うよー」と言ったところ、「お母さんには小さいころからツルの気持ちは分からないよ!!」と強く返された。確かに分からない。
そんな彼が結婚するときに、お婿にいってもいいよと伝えたら、ツルのままがいいと言う。気に入ったのなら良かった良かった。
高校に入ってしばらくしたら、お弁当を自分で作ると言い出した長男。料理好きなので、安心してお願いした。
初めて自作の弁当を持っていったら、友だちから「今日のツルの弁当は、弁当らしい弁当だなぁ」と言われたとドヤ顔で帰ってきた。
これまでの弁当がどうだったかはさておき、朝から大学いもを揚げるなんて感心する。いろいろ工夫しながら卒業まで欠かさず作っていた。
大学卒業後、就職浪人していたころは、家族の食事を一手に引き受けてくれて本当に助けられた。
裁縫は長女、買い物は二男と、うまく回してくれたおかげで、私は楽に仕事が続けられたと感謝している。
Helen Wheels
「ヘレンって誰?」と思った方もいるかもしれない。五十音ブログでは毎回有名人やキャラクターの名前を入れているが、今回は違う。ポール・マッカートニーが歌うヘレンは車の名前だ。
私が中学3年のとき、ビートルズが好きな友人たちとイングリッシュネームなんてものを付けて遊んでいた。サリーやミシェル、モーリー、、、私はおこがましくもポールの奥さんの“リンダ”を名乗っていた。
小学校のころから思い続けていた男の子をヘレンと呼んだ。ポールの『Helen Wheels』のヘレン。邦題は『愛しのヘレン』である。
自分から告白してはいなかったが、告白していたようなものだったんだなぁと今は思う。愛しの…、なんだから、それ以外は考えにくい。
それでも私は、自分の恋心はうまく隠して仲の良い友だちでいると思っていた。
ただ純粋に、楽しそうにしている姿を見られれば私も嬉しかった。笑顔で語りかけられると、音が聞こえてしまうのではないかと思うほど胸がドキドキした。
ある日、帰り際に右手を出されて、それが握手を意味しているんだと気づいたとき、頭が真っ白になった。
家に帰ってから「手を洗わない宣言」をした私を、母は微笑ましく見ていただろう。母の表情を見る余裕なんてまるでなかったから分からないけれど。
あんなに素敵な握手は、後にも先にもあの時一度きりである。
今でもヘレンの姿を見ると少し胸がキュンとして、少し緊張する。だけどこうして文字に起こせるのは、それが大切な思い出として、きちんと昇華出来ているからだと思う。
無垢な気持ちを抱いていた私を思い出すことはあっても、過去に戻りたいとは思わない。
過去を解き放った私は、こんなにも自由なのだから。
